ゲームやWebコンテンツはプログラム言語を使って開発されることになりますが、プログラミングが完了したものが、そのままリリースやローンチ(公開)されることはありません。どれほど優秀なプログラマーが制作したプログラムだったとしても、正常に動作するのか、あらゆる状況を想定した検証作業が欠かせません。この検証作業を担当するのが、チェッカーです。特に、想定通りに動作するのかについての確認作業を行います。
チェックの方法はさまざまですが、ゲームソフトの場合には、プログラムコードを一つひとつチェックしていくのではなく、開発中のゲームを実際にプレイして、不具合やバグがないか確認していきます。ストーリーに沿ってプレイするだけではなく、あらゆる行動や状況を試す必要があるため、非常に根気がいる作業だといわれています。
チェックを行う際には、確認漏れがないようチェックシートなどを用いて、課題となるすべての動作を確認したのかを記入しながら行っていきます。また、チェックすべきポイントは大量になるため、アルバイトを使ったり、担当を決めてチェック箇所を分担したりしながら、進めていくケースがほとんどです。チェックが終わったら、報告書を書いて提出します。こうして集められたバグや不具合の情報はゲームプログラマーにフィードバックされ、彼らが修正を行っていきます。チェッカーがプログラミングの修正や変更にまでタッチすることはほとんどありません。
ただし、Webコンテンツの動作確認を担当するチェッカーは、不具合が見つかるとプログラムの修正を行うこともあるようです。したがって、ゲームのチェッカーはプログラミング言語に関する知識がなくても構いませんが、Web関連のチェッカーはプログラムの知識やスキルがある程度は必要とされることになります。
主な勤務先としては、ゲーム開発会社やゲームメーカー、Webコンテンツ制作会社、Webデザイン会社などが挙げられますが、フリーランスとして活動する人もいるようです。
続いて、チェッカーの仕事内容を見ていきましょう。どのような手順で仕事をしていくのか、依頼から完了までの流れを簡単に解説していきます。
チェックするゲームがどのような内容・構造になっているかなど、仕様を確認して全体像をつかみます。そして、作業範囲といつまでに何をすべきなのかということを把握します。
開発中のゲームを実際にプレイし、検証作業をスタートします。チェックシートを見ながら確認すべき動作を試し、不具合やバグがないか検証していきます。想定とは違う動作を発見した場合は、どのようなときにそのような不具合が発生したのか、状況をメモしておきます。
プログラマーがバグを適切に修正できるように、メモを見ながら報告書を作成します。多くの場合には会社ごとにフォーマットが用意されているので、それに沿って報告書を作成すれば良い状態になっています。報告が完了すればひとまず作業は終了となり、次の担当パートの検証に移ります。これを繰り返し、バグがなくなるまで検証していきます。
どのような仕事にも、その職業に関わる人たちがよく使う専門用語があります。ここでは、チェッカーが使う業界用語を取り上げます。
チェッカーが行うバグや不具合を見つける作業は、デバッグとも呼ばれます。プログラムのバグや不具合があると、ソフトウェアやゲームソフトが正常に動作しなくなってしまうため、この検証作業が欠かせません。
二人の作業員が共同して、バグを探すことをペアテストといいます。ひとりで検証するときよりもバグを見落とす可能性が低くなり、検証の精度が高まります。