コンシューマゲームやアーケードゲーム、そしてスマートフォン向けゲームなど、あらゆるゲームのストーリーや登場人物のセリフ、あるいは冒頭や途中で挿入されるムービーパートの台本を制作するのが、ゲームシナリオライターの仕事です。
ゲームによっては、エンディングに向かって進むメインのストーリーだけではなく、脇道に逸れてもゲームが楽しめるよう、膨大なサブストーリーを収録しているタイプのものもあります。こうしたゲームの場合には、フローチャートやフラグを作成するなどして全体の流れを管理しながら、漏れがないようシナリオを作成していくことが必要となります。またスマートフォン向けゲームの場合、配信後も次々とバージョンのアップデートが行われ、ストーリーが追加されていくこともあります。そのため、ゲームシナリオライターの活躍の場は増え続けています。
キャラクターのセリフのほか、ストーリーの構成や展開、ゲームの舞台設定など、さまざまなテキストの制作に関わります。そのため文章力だけではなく、自然な会話を創作する洞察力や魅力的な物語を構築するための創造性や構成力など、ゲームへの造詣はもちろんのこと、幅広い能力が求められます。執筆するシナリオの量が膨大になることも多く、一定のクオリティを保ちつつスピーディに執筆する速さも必要です。
ゲームシナリオライターになるためにはとくに資格はいりませんが、実務経験があると採用試験時のアピール材料となります。アルバイトでも構わないので、作業ノウハウを身につけるために現場に携わっておくとよいでしょう。また、ゲームプランナーといった仕事をしながらシナリオを書き、能力を認められて昇格するというケースもあるようです。
主な勤務先は、ゲーム制作会社やゲームアプリ制作会社、大手ゲームメーカーになります。スマートフォン向けゲームに参入する企業も多いため、経験が豊富なゲームシナリオライターが求められています。そのため転職市場も活発だと言えます。
続いて、ゲームシナリオライターの仕事内容を見ていきましょう。どのような手順で仕事をしていくのか、依頼から完了までの流れを簡単に解説していきます。
まずはゲームクリエーターやゲームプロデューサーと打ち合わせを行います。ゲームの概要やテーマ、コンセプトなどを確認し、誰がどのような作業を担当するのかを聞きます。この段階でゲームクリエーターらによって、企画の詳細が固まっているケースもあれば、まだ漠然としていることもあります。
いきなり原稿の執筆に取り掛かるのではなく、まずは大まかな流れや構成がわかるようなプロットを作成します。プロットが完成したら、ゲームクリエーターやゲームプロデューサーに確認してもらい、修正点などがあれば対応します。
プロット確認で問題がなければ、シナリオの執筆をはじめます。セリフやサブストーリーの多い作品の場合には、複数のシナリオライターがチームを組んで執筆していきます。話の筋や文章のトーンがバラバラになってしまわないよう、ほかのライターとすり合わせながら進めていきます。シナリオが完成したらチェックを受け、修正点がなくなるまで何度も書き直します。
どのような仕事にも、その職業に関わる人たちがよく使う専門用語があります。ここでは、ゲームシナリオライターが使う業界用語を取り上げます。
二人以上のキャラクターが、交互にセリフを言い合うシーンのことを掛け合いと言います。
セリフをしゃべるキャラクターのことを話者と言います。とくに会話シーンの多いアドベンチャーゲームの制作現場などで使用されます。