原型師は人形やフィギュア、模型、キャラクターグッズ、アクセサリーなどを量産するための原型を制作する人のことを指します。工場で大量生産する際には、同じデザインの商品を複製するために金型が用いられますが、原型はその金型の元となる最初の商品サンプルです。
原型師はこの原型を手作業、もしくは3GCGソフトや3Dプリンターを使ったデジタルの手法で製作していきます。ちなみにフィギュアの原型作りを専門的に行っている人は、フィギュア原型師と呼ばれています。
アナログで製作する場合には、ポリエステルパテというパテに硬化剤を混ぜることによって、固まるペースト状の造型材を使ったポリパテ原型という方法があります。この方法では骨組みを作ったあと、そこにパテを肉付けするように重ねていき固めたあと、ナイフやヤスリで形を整えるように製作していきます。あるいは、ワックス原型という、指輪といったアクセサリーの原型作りにも使用されるブロック状のワックスを、彫刻と同じ要領で削っていく方法があります。
また、デジタルで作業を行う場合には、3DCGソフトや3DCADソフトを使用し、設計図を作っていきます。その後3Dプリンターで出力したあと、ナイフやヤスリを使って仕上げの成形を行っていきます。
いずれの方法でも最終的には手作業で完成させるため、原型師は手先が器用で繊細な作業をするのが好きな人に向いているといえます。原型師の主な勤務先はフィギュアや模型の制作会社、おもちゃメーカー、あるいはアクセサリーのデザインを担当している会社があげられます。フィギュアとアクセサリーでは同じ原型を作る作業とはいえ、動きのある原型が求められがちなフィギュアとデコレーションのセンスが求められるアクセサリー作りでは、必要とされる素養が大きく異なります。したがって、どのようなものを作りたいのか、あらかじめ絞って就職活動を行ったほうが良いといえます。
続いて、原型師の仕事内容を見ていきましょう。どのような手順で仕事をしていくのか、依頼から完了までの流れを簡単に解説していきます。
まずは企画担当者から製作する原型の情報をもらいます。製作する原型の情報は、仕様書という形でまとめるのが一般的です。仕様書は企画が提案されるときに作られる企画書をより具体的にしたもので、キャラクターの属性やポーズ・表情のイメージなどが細かく記載されています。この仕様書を見ながら、企画担当者と打ちあわせを行い、イメージを固めていくことになります。このときスケジュールも確認しておきます。
原型の製作に入る前に、まずはスケッチを描き、ビジュアルイメージを作ります。これを企画担当者と共有し、仕様書でイメージしていたものと合致しているのか確認してもらいます。イメージと異なる点があれば、指摘してもらい修正していきます。
イメージの共有ができれば、原型の製作に入ります。まずは骨組みとなる胴体や手足、そして頭などを作っていき、そこから肉付けしていくというのが一般的な作り方です。
骨組みが完成したら肉付けし、さらに細部を作り込んでいきます。ディテールにこだわればこだわるほど製作は大変になりますが、その分クオリティが上がるため、消費者からの人気も高くなります。最後はナイフやヤスリを使って仕上げていきます。着色はフィニッシャーの仕事のため、造形が完成したら原型師の作業は終わりとなります。
どのような仕事にも、その職業に関わる人たちがよく使う専門用語があります。ここでは、原型師が使う業界用語を取り上げます。
その昔、プラモデルは接着剤でパーツ同士をくっつけていましたが、近年は接着剤がなくてもパーツの組み立てができるモデルが発売されています。こうした模型のことをスナップフィットモデルといいます。
ミニカーや鉄道模型に見られる鉛や亜鉛などの合金を使った模型のことをいいます。強度があると同時に、工業製品に似た質感を出すことができます。