フィニッシャーは、フィギュアや模型といったおもちゃを製作する際に、塗装や磨きといった仕上げを担当する仕事です。フィギュアでは、まずフィギュア原型師と呼ばれる職人が、すべての元となる原型の造形を完成させます。この状態ではまだ色付けがされていません。原型が完成すると、今度は原型を複製します。原型はすべての基礎となる最も大切なもののため、原型で着色作業はせずコピーを作成し、そのコピーで作業を進めていくことになります。
ちなみに複製は原型をシリコンで型取りしたあと、そこへレジンキャストと呼ばれる合成樹脂を流し込み、製作する方法が主流です。フィニッシャーはこのときにできた複製に塗装を行い、デコマスと呼ばれる彩色見本を作っていきます。
衣装やボディの着色だけではなく、顔の色付けも行います。特に目や口などを描き込む作業は面相と呼ばれ、フィギュアのできを大きく左右する大事なポイントだといわれています。したがって、キャリアの長いベテランのフィニッシャーが担当したり、会社によっては面相専門の人が担当したりするケースもあります。
フィニッシャーになるためには、まずは自身でプラモデルや模型作りを日頃から行い、技術を磨くことが大切です。採用試験では腕前を見るために、作品の提出を求められることもあります。また、仕事中は黙々と作業を行う印象がありますが、チームで作業を行うケースもあるため、コミュニケーション能力を重視している会社も多くなっています。
続いて、フィニッシャーの仕事内容を見ていきましょう。どのような手順で仕事をしていくのか、依頼から完了までの流れを簡単に解説していきます。
塗装を行う前にまずパーツを洗い、汚れを取り除きます。
メタルプライマーとは塗装がしにくい素材にあらかじめ噴霧することで、塗膜がより強固にパーツに密着して塗装しやすくなる下塗りスプレーのことです。汚れを洗い流したあと、これを複製した原型に吹き付けます。
メタルプライマーの次に調色した塗料を、エアブラシを使って噴霧していきます。特に肌の色は調合を間違うと、違和感が残ってしまうので注意が必要です。
ある程度ボディの着色が終わったら、仕上げに目や眉、口などを描き込んでいきます。すべての着色が終わったら、ツヤ出し作業を行い終了となります。
どのような仕事にも、その職業に関わる人たちがよく使う専門用語があります。ここでは、フィニッシャーが使う業界用語を取り上げます。
原型を元に複製されたもので、量産する工場に送られるのが支給原型です。この支給原型から量産のための金型が製作されます。
デコレーションマスターの略で、彩色見本をして製作されたフィギュアのことです。フィニッシャーが塗装を担当し、工場ではデコマスを見本に色付けが行われます。