プロデューサーは映画やテレビ番組など映像作品を制作する際に、プロジェクトの総責任者として仕事をする人のことを指します。具体的には、企画の立ち上げや予算集め、配役やスタッフの決定に関与します。制作がスタートすると、現場は映画監督やディレクターらに任せ、進行の管理やスポンサー集めなど、一歩引いた位置から全体を把握・統括する仕事に専念するケースがほとんどです。
ゲームプロデューサーと同様にプロデューサーの手腕も、手がけた作品がヒットするかどうか、いかに利益を生み出せるかといったビジネス面で評価されます。作品に対する満足度が高くファンから称賛されても、それは監督やディレクターの実力として認識されます。もちろん企画を立ち上げたり、配役やスタッフの決定に関与したりと、作品の良しあしに影響を及ぼす業務も担っていますが、ビジネスマンとしての能力が求められることになります。
主な勤務先としては、テレビ局や映像制作会社、映画配給会社などがあります。将来のプロデューサー候補生を採用するケースはありますが、経験が重視される職種のため、アシスタントディレクターからディレクター、そしてアシスタントプロデューサーを経て、プロデューサーに昇格するケースがほとんどです。背景にはビジネスマンとしての能力が重視されるものの、現場のことを理解できなければ、監督、カメラマン、脚本家、キャストなど各プロフェッショナルたちを統括することはできないという考え方があります。そのためプロデューサーを目指すなら、まずはアシスタントディレクターとして業界に入り、現場を知ることからスタートするのが近道です。
テレビ番組であれば関係するスタッフの数もそれほど多くはありませんが、映画になると非常に多くのスタッフが作品に関わることになります。また出資を募るため、広告代理店やスポンサーと交渉する機会もあります。そのためコミュニケーション能力や交渉力も必要な能力となります。そのほかには予算を管理する財務の感覚や、時代の空気を見抜く感性なども必要となります。
続いて、プロデューサーの仕事内容を見ていきましょう。どのような手順で仕事をしていくのか、依頼から完了までの流れを簡単に解説していきます。
テレビ番組や映画制作のスタートは企画を立ち上げることからです。プロデューサーは市場調査や世間の動向を見ながら、いま制作すべきテレビ番組・映画を考えます。テレビ番組の場合には、構成作家やディレクターからアイディアが出されることもありますが、判断を下すのはプロデューサーです。制作期間や予算、そしてキャストなどをイメージしながら企画書を作っていきます。
企画が立ち上がったら制作を了承してもらうため、会社の役員や決裁権を持つ担当者の前でプレゼンテーションを行います。無事に企画が承認されれば、スタッフやキャスト、スポンサー集めをスタートさせます。
特に映画制作では膨大な資金が必要となり、一企業だけでは賄えないケースがほとんどです。そのため、スポンサーを募って映画制作に必要な資金を集める必要があります。資金を集めるためにスポンサーや広告代理店を回るのが、プロデューサーの役割のひとつです。
ドラマや映画のヒットには、どの役者が出演するかも大きく影響を及ぼします。そのためオーディションにはプロデューサーも参加し、監督らとともにキャストを決定します。
撮影の現場は監督やディレクターに任せ、何か不測の事態が起こった時には責任者としてプロデューサーが対処するのが一般的です。ただ、撮影がすべて終わり、重要な編集の作業には立ち会うこともあります。
ある程度完成のめどが立ったら、作品をヒットさせるための広告戦略を練っていきます。タイトルを決めたり、広告物の出稿をしたり、プロモーションの予定決め、広告代理店との打ち合わせなどを行っていきます。
どのような仕事にも、その職業に関わる人たちがよく使う専門用語があります。ここでは、プロデューサーが使う業界用語を取り上げます。
テレビ局はキー局と地方にあるローカル局にわけることができますが、キー局とは主に東京にあり、番組の制作や編成、地方局への番組送信を行っている中心的な放送局のことを言います。地方にあるローカル局は自身でも番組を制作していますが、キー局から番組の提供を受けて放送を行っています。
まだ音声や音楽などが入っていない状態の、未編集の映像をまとめたものをラッシュと呼びます。撮影がひと通り終わると、映像の確認のためにラッシュをスタッフ間で試写し、そのあとの編集方針を決定することがあります。