ひと口に雑貨といっても、掛け時計やゴミ箱、ミラーといったインテリア雑貨もあれば、キッチンバサミや調味料入れなどの料理に使うキッチン雑貨もあります。あるいは、バスルームで使うディスペンサーやカランといったバス雑貨やトイレ雑貨といった、非常に多くの種類と商品があります。これら雑貨全般のデザインを担当するのが、雑貨デザイナーの仕事です。
小さな企業の場合には、デザイナーが商品を企画するところから手がけるケースもありますが、扱っている点数が多い場合や、商品企画部があるような企業なら、雑貨デザイナーはデザインすることに専念します。
ただ、ひと口にデザインといってもさまざまな作業があります。例えば、売り上げデータや他社の類似品を調査して、デザインのトレンドや傾向を分析したり、デッサンを作るだけではなく紙や発泡スチロールなどを使って簡単な模型を作り、サイズ感を検討したりすることもあります。また、新製品が開発される際には工場や印刷所に足を運び、思い通りの色や形に仕上がっているか、品質チェックを行うこともあります。
雑貨デザイナーにとって、デッサン力やイマジネーションはとても大切なスキルになりますが、雑貨の多くは生活のなかに取り入れたり、使用したりするものです。したがって、日頃生活を送るなかで、こんなデザインの雑貨があったら嬉しい、あんな雑貨があったら生活に彩りが出るかも、といった具合に小さな気づきを常に持っておく感性が欠かせません。そのためにもゆとりある生活を送り、雑貨店があれば積極的に足を向けて情報収集を行うことも大切です。
雑貨デザイナーになるために特に資格は必要ありませんが、グラフィックデザインソフトや、3Dのイメージ図や設計図を起こすことのできるCADのスキルがあると、仕事の幅が広がるかもしれません。
続いて、雑貨デザイナーの仕事内容を見ていきましょう。どのような手順で仕事をしていくのか、依頼から完了までの流れを簡単に解説していきます。
商品企画部から企画が持ち込まれた場合には、どのような雑貨を考えているのか、企画書を見ながら用途やターゲット層、現時点でどんなビジュアルをイメージしているのかなど概要を説明してもらいます。場合によっては、デザイナーの視点からアドバイスやアイディアを出すこともよくあります。
既に類似の商品が出ている雑貨なら、一度どのようなものが販売されているのか、街の雑貨店やデパートなどの雑貨コーナーに足を運び、調査・リサーチを行います。
打ち合わせやリサーチを終えたら、デザイン案作りを行います。まずはラフスケッチを行い、ビジュアルイメージを固めていきます。完成したデザイン案を企画部や上司に見せ、意見をもらいます。修正点があれば直し、問題なければよりイメージの伝わるデザイン案をグラフィックソフトで作ります。
決裁権を持つ担当者の前で、企画担当者とともに商品案のプレゼンテーションを行います。ここで了承が得られれば模型を作り、さらにデザインを詰めていきます。
工場に発注ができるような設計図や仕様書を作成します。サンプルが完成したら、思い通りにデザインされているか確認します。問題がなければ工場で量産され販売となります。
どのような仕事にも、その職業に関わる人たちがよく使う専門用語があります。ここでは、雑貨デザイナーが使う業界用語を取り上げます。
上品なデザインのことをシックと呼びますが、反対に少し悪趣味なデザインのことをキッチュと呼びます。悪趣味だけどカラフルでかわいい、そうしたポジティブな意味合いでも使われる言葉です。
売れ残り、店頭や倉庫に在庫品として保管されている商品のなかで、年月がたったことにより希少価値が出てきたもののことを指します。