
株式会社本田技術研究所は、本田技研工業株式会社の100%出資による研究開発子会社である。埼玉県和光市・朝霞市、栃木県芳賀町などに研究所を有し、四輪車、二輪車、汎用機器などの研究開発を行っている。
2016年TCA卒
株式会社 本田技術研究所
モデラー
デザイナーがスケッチしたクルマのデザインを精緻に立体化させる、カーモデラーの仕事。世界のクルマ業界が激変しようとするいま、モデラーにはどんな創造力が求められているのか?ホンダでモデラーとして活躍するTCA卒業生・千田さんがプロならではの視点で学生たちの質問に答えました。
実感としては、変わっていません。スケッチをもとにして、それより良いものを立体に仕上げる。モデラーに求められることは基本的に同じです。ただ、商品づくりに関わる人の数がすさまじく多いので、自分だけで決められないことももちろん少なくなく、そういう意味での難しさはあります。
僕の考えでは、ホンダはパッケージを大事にするメーカーだと思います。機能性を犠牲にしたスタイリングはしない。たとえば「ホンダ車は酔いにくい」と良くいわれるように、ベースが人を中心にデザインされているんですね。それを肯定的に捉えて、スケッチを立体化するように努めています。
「良いものを造る意思」です。良いものを造るためにはどうするか?つねにそのことを最優先に考えて、クレイもデジタルもスキルを高めていってください。こう言うと精神論や根性論にしか聞こえないかもしれませんが、それをやり続けることで自然と高いスキルが培われていくのだと思いますよ。
まずは、スケッチを穴が開くほど見ることです。そして「この面を力強くしたい」と思ったら、そのためにどうすればいいのか?跳ねさせるべきか、内側に削るべきか?そうしたことを必死に考えながら作業をするのが意思だと思います。スケッチから何を読み取るかを、つねに大事にしてください。
いまの時代にはそぐわないかもしれませんが、最後はやはり根性論だと僕は思うんです。意思が大事だと言いましたが、考えすぎて手が止まるよりは、どんどんやって失敗したほうが経験値は上がる。失敗を怖れてやらないより、学生は時間をかけてやるほうが絶対いいと思います。頑張ってください!