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スペシャルトークセッション

篠塚正典×本間昌平×在校生

Profile

TCA学校長/クリエイティブディレクター
篠塚正典先生

アメリカのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで学び、グラフィック/パッケージデザイン科を首席で卒業。
1990年にランドーアソシエイツ・サンフランシスコ本社へ入社し、東京支社転勤後の1993年、長野冬季オリンピックのシンボルマークデザインを手がける。1995年に株式会社イデアクレントを設立。以来、国内外多くの企業のCI、VI、パッケージデザインを担当し、現在に至る。

滋慶学園 教育顧問
本間 昌平先生

株式会社 明治アドエージェンシー 元常務取締役 コミュニケーション統括本部長。現在は教育顧問として株式会社 明治をはじめ多くの企業プロジェクト指導にあたっている。

SPECIAL TALK SESSION

やりたいことが沢山あって将来の道を決められない場合はとにかくやってみること

「どの仕事が好きであるかは、まずはやってみることが大事」。
そうお話してくださったのは、長野オリンピックのシンボルマークを手掛けるなど日本を代表するデザインの匠であり、本校の学校長を務める篠塚正典先生。その篠塚先生と長きにわたり明治でロングセラー商品を手掛けて来た教育顧問の本間先生とのスペシャルトークセッションです。

TCA学校長/
クリエイティブディレクター

篠塚正典先生

滋慶学園 教育顧問

本間 昌平先生

グラフィック
デザイン専攻2年

Tさん

デザイン&テクノロジー
マスター専攻

Sさん

グラフィック
デザイン専攻2年

Fさん
今回のトークテーマが「好きを仕事にする」なのですが、篠塚先生がこの道へ進もうと思ったのはいつ頃ですか?

篠塚生まれたときからこの道で行こうと思っていたかな(笑)。
小さい頃から絵を描くのが好きで「好き」という気持ちを信じてやっているうちに、何の迷いもなく自然とこの道に進んでいましたね。神の仰せのままにという感じです。
今はシンボルマークとパッケージデザインをやっていますけど、小学生の頃からシンボリックなものに興味を持っていて、オリンピックや万博のマークをノートにきれいに真似して描き写していました。考えてみるとその頃からシンボルが好きだったんじゃないかな。

それで実際に長野オリンピックのシンボルマークを手掛けられたなんてすごいですね!

篠塚自分でも本当にできるとは思っていませんでしたが、デザイナーになった以上はやりたいなと思っていました。

好きを仕事にしながらも、挫折や自信を失うことはありましたか?

篠塚能天気だから、そんなに真剣に考えたことがないかもしれない(笑)。デザイナーをやめて違う職業になろうなんて思ったことは一度もないですし、生まれ変わってもデザイナーになりたいですね。

本間私はサラリーマンですから挫折や自信を失うことばかりでした。
新商品の開発には、莫大なお金がかかります。設備投資の為、社内のオーソライズをしなければいけないのですが、必ずあらゆる方面からいろんな意見やチェックが入りますし、それを乗り越えていかなければいけない、そういう挫折や苦しみは沢山ありました。ただ、新入社員の方を迎えるときに言うのが「1日1ミリ成長できれば良いんだ」と。そうすると、ひと月で3センチ、12か月で36センチ、5年も経つと180センチになる。
つまりは一気に成長しようとせずに毎日積み重ねることが大切です。その実績を人は必ず見てくれていますから。

ここからは、お二人のお仕事についてお伺いします。
ロングセラー・プロテインSAVASをはじめ、20年以上お仕事を一緒にされていますが、これまで印象に残っていることはありますか?

本間私が入社するよりも前の1980年に発売しているSAVASはロングセラー商品なのですが、今では当時と全く違うものになってきています。筋肉を増やしたい人のための商品だったのが、次第にアスリート全体に広がり、今では適度な運動をしながら体を保ちたい一般の人たちに購入していただいています。その変遷をその都度、篠塚さんにパッケージデザインをお願いしていて、SAVASの持つ未来感やシャープさを大事にしながら、上手に展開していただいてきました。ですから、毎回良いものができあがるので、どれか一つというより20年間のお付き合いの中でSAVASの世界を一緒に築いてきたということが印象に残ることです。それに、クライアントとデザイナー以上の付き合いをしている感じです。

篠塚私たちは同い年なんですよね。

本間同い年であることも良いカタチで作用しているのかもしれません。コミュニケーションを取ることは最終的にデザインにも影響してくるのでとても大切なことですし、それが20年続いた秘訣ではないかと思います。

シンプルなものは、究極のデザインという感じがしますね!

篠塚そうですね、どんなものをつくるにしても複雑なものよりシンプルで分かりやすいことが基本的には必要です。分かりにくいものは売れないですもんね。シンボルマークはそれの最たるもので、シンプルな形の中にすべてを入れなければいけないので、究極のミニマリズムだと思っています。そこがおもしろくてやっているんですけどね。

学生のうちにやっておいた方が良いことは何でしょうか?

本間私はデザイナーではないのであくまでクライアントとしてですが、学校の勉強も大事ですが本や映画を見たりあらゆるものに興味を持つことです。きっとそれが引き出しとなり、特にクリエーターは自分の中でどれだけ引き出しを持っているかが勝負なんだと思います。

篠塚その通りです。経験の幅を広げたほうが良いですよね。

本間日本を代表するコピーライターの人と仕事をしたことがあるのですが、CMの撮影が終わって寿司屋のカウンターでご飯を食べたんです。そのときに「どうやってコピーをつくるんですか?」と聞くと「いや、俺はつくらない。捨てていくだけだよ」って。案件がきたら、これとこれとこれを組み合わせて考える。あるいは、これでもそれでもないとどんどん捨てていって、残ったもので磨きをかけていく。つまり、自分の中にどれだけ大きな引き出しを持っているかがカギになってくるかということです。

TCAにはWメジャーを利用して、専攻している勉強以外のジャンルを学べるシステムがあります。
やりたいことが多すぎて明確に将来の道を決められない場合はどうすれば良いと思いますか?

篠塚確かに選択肢が沢山あり、迷っている人もいると思います。まずはとにかくやってみて、自分が好きか嫌いかを体験して決めれば良いいのではないかと。やってみなきゃ分からないですもんね。最近はネット社会で情報が多くなり分かった気になってしまい、実際に体験することが少なくなっているから余計迷っているのではないかなと。私たちの時代は情報がないから、とりあえず飛び込んで自分に合っているのかそうでないのかを判断していました。

業界を目指す学生に応援のメッセージをお願いします。

篠塚「自分はこれが好きだ」という思いを大事にして、自分を信じて一歩一歩進んで行けば必ず道は開けると思います。がんばってください。

本間社会に出ると今までのやり方や先輩のやり方に縛られてしまいます。そんな時は、心をもっと解放して課題と向き合っていただきたいと思います。
心を解放しても他人には見えませんし、どんな型破りなことを考えてもいいわけですから、もっと自由になってください。すると発想の幅も大きく広がります。これからはみなさんの時代ですので思い切りやっていただきたいなと思います。

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