どうやったら世界で勝てるのか、考えながらものをつくっていってほしい
「面白いゲームってなんだろう」。セガで数々のヒット作を手がけた西山教育顧問に、ゼミの学生たちが単刀直入に質問!
日本のゲーム業界の今、そしてこれからについても、熱く語っていただきました。
教育顧問 スゴロックス代表取締役
西山泰弘先生
セガ入社後、「三国志大戦」シリーズ、「CodeofJoker」、「maimai」、「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド4」、「チェインクロニクル」など、ジャンル、プラットフォームを超え、数々のセガを代表するヒット商品(体験)をプロデュース。ぷよぷよeSports事業の立ち上げ、国体文化プログラムとして開催される全国都道府県対抗eスポーツ選手権のタイトルに採用されるまでの普及、ゴルフ事業、カジノ事業など、新規事業のプロデュースも多数。その後、ビジネスプロデューサーとして、国内外の様々な企業とのアライアンス、新規技術のへの投資などを手掛ける。セガを退社後、2024年4月よりスゴロックス株式会社を立ち上げる。
「面白いゲームってなんだろう」。セガで数々のヒット作を手がけた西山教育顧問に、ゼミの学生たちが単刀直入に質問!
日本のゲーム業界の今、そしてこれからについても、熱く語っていただきました。
ゲームプログラマー・
プランナー・
VRマスター専攻3年
ゲームプログラマー・
プランナー・
VRマスター専攻2年
教育顧問
スゴロックス代表取締役
ゲームプログラマー・
プランナー・
VRマスター専攻2年
西山面白いゲーム作りの基本は「ストレスと喜び」の調整です。プレイヤーに耐えられるレベルのストレスを与えつつ、大きな喜びの瞬間を用意する。難しいけれど、ある瞬間に大きな喜びがあればそれが「面白いゲーム」なんですよ。でも僕らが提供するゲームは、長くプレイヤーのみなさんに愛していただけるものにしたい。だからひたすら「ストレスと喜び」の調整を続けるのが僕のゲームの作り方ですね。でも、そもそも「面白い」と感じるものは人によって違います。だからなるべく多くの人と交流し、人それぞれの「面白い」を知ることが大事だと思います。そして自分が「面白い」と思ったものを一緒に面白がってくれる人がいるなら、今度はその人を楽しませられるものを作ってみてほしい。だから私の授業ではゼミ形式で、学生同士交流し、アイディアを出し合い課題に向かっていく、というやり方にしているんです。仲間に「君は、これが得意だよね。だからこれをやってみてよ」と言われて、ハッと気が付くもの。だからコミュニケーションってものづくりに、仕事に、そして自分を知ることにおいてもとても大事なんです。
西山さっきもお伝えした通り、「面白い」って人によってさまざまで、答えがありません。だから、AIだけで面白いゲームを作ることはできないんですよ。だけど一方で、明確に答えがあるものについては、AIの得意領域です。そういったところにAIを用いることは考えても良いと思います。そもそもAIを使いこなすためには、質問力が必要。なぜならAIはあらゆる答えをもっています。どんどん質問して、その答えを手に入れてほしい。若い学生のみなさんは、どんどん「?」が湧き上がってくるでしょうから、その疑問と好奇心を質問に変えていけば、さらにAIを使いこなすことができると思うのです。また日本にはなんとなく「気合いで頑張る」みたいな文化が残っているのでAIを活用することにおいて、他の国より後れをとり始めています。学生たちにはその点でも世界を意識してほしいですね。
西山1983年に「ファミコン」が出てから2000年代初頭にかけては確かに日本のゲーム業界は世界の中でも大きなシェアを占めていました。けれど携帯電話が普及し出した頃、日本は携帯ゲームの制作に集中してしまった。携帯ゲームは消費が激しく飽きられやすいですし、そもそも欧米の人たちはそこまで携帯でゲームをしない。ですからその間に世界はどんどん新しいゲームを開発して、どんどん日本を追い抜いていったのが実情です。もちろん日本の中では携帯ゲームも大きな市場でしたし、利益もありました。でも目先の利益だけみていると、世界を取り逃してしまう。そういう実情も若い人に知ってもらいたいですし、みなさんにはどうやったら世界で勝てるのか、考えながらものをつくっていってほしいなと思いますね。
西山私はずっとゲームが好きなんですよ。あらゆるジャンルにおいての知識もセンスもゲームには必要です。だから映画を見ていても、音楽を聴いていても、ご飯を食べていても、全部が勉強になるし、豊かに生きることそのものがいい仕事につながってくる。一生刺激を受け続けて、それをアウトプットし続けられるって、最高の仕事だと思います。だから、私の場合は好きなことを仕事にして苦労した、ということはあまりないですね。もちろん企業に勤めていれば制作とは別の、会社員としての気苦労はありました。それでも会社で若い人たちが熱中してゲーム作りをしているのを見るのは好きでしたね。だから今、自分の会社を起こして若いクリエイターたちと一緒に新しいものを、と思っているんですよ。
西山隙間時間にぼーっとしないことは意識しています。電車の中でも、バスを待っている間でも、新しいゲームをしてみたり、流行っている漫画を見てみたり。あとはとにかく人にたくさん会うようにしています。そのなかでアイディアが湧き出してくるなんてこともありますよ。
西山コミュニケーションツールが今の時代はたくさんありますよね。例えばスタッフみんなが見ているSlackなどのツールに、誰宛とはいわずに「こういうのいいよね」と情報を投げてみる。そうすると、なんとなく「これはこうしたほうがいいのでは」とか新しい意見も出てきて、気がついたらみんな巻き込まれているという(笑)。だからなにをするにもとにかくコミュニケーションが主役。ぜひみなさんもTCAで、学生同士アイディアをぶつけあって、高め合って、周りを巻き込んでいってほしいです。