自分の好きなことを仕事にすると、毎日わくわくする
日本を代表するデザインの匠であり、本校の学校長を務める篠塚正典先生と、モビリティデザイン分野のパイオニア
GKダイナミックスで活躍する麥倉氏とサイ氏(TCA卒業生)、在校生によるスペシャルトークセッションです。
株式会社GKダイナミックス シニアディレクター プロダクト動態デザイン部
麥倉毅美氏
東京藝術大学では金工を学び1994年に(株)GKDynamicsへ入社。2006年にLAのGKDesignternationallnc.へ出向。2021年に帰国しGKDynamicsへ戻る。モーターサイクル、ATV、ボート、車から一般プロダクトまで幅広いプロジェクトに参画。
株式会社GKダイナミックス シニアディレクター プロダクト動態デザイン部
サイさん
台湾の大学でグラフィックデザイン学科から卒業し、グラフィックデザイナーとマーケティングとして活動。2023年、TCAの二輪デザイン専攻を卒業し、(株)GKDynamicsへ入社。
TCA学校長 クリエイティブディレクター
篠塚正典先生
アメリカのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで学び、グラフィック/パッケージデザイン科を主席で卒業。1990年にランドーアソシエイツ・サンフランシスコ本社へ入社し、東京支社転勤後の1993年、長野冬季オリンピックのシンボルマークを手がける。1995年に株式会社イデアクレントを設立。以来、国内外多くの企業のCl、Vl、パッケージデザインを担当し、現在に至る。
日本を代表するデザインの匠であり、本校の学校長を務める篠塚正典先生と、モビリティデザイン分野のパイオニア
GKダイナミックスで活躍する麥倉氏とサイ氏(TCA卒業生)、在校生によるスペシャルトークセッションです。
株式会社GKダイナミックス
シニアディレクター
プロダクト動態デザイン部
株式会社GKダイナミックス
シニアディレクター
プロダクト動態デザイン部
TCA学校長
クリエイティブディレクター
カーモデル専攻4年
自動車デザイン科
研究生
サイ私は主にモーターサイクルのデザイン開発に携わっています。ヤマハ発動機(株)さま関連の仕事が多く、モーターサイクル関連の展示などにも携わっています。バイクに関すること全般が私の仕事であり、情熱の対象でもあります。
サイ台湾の大学でグラフィックデザインを専攻し、卒業後は台湾でデザイナーとして1年間働きました。その後、父の勧めで日本に移ることになり、TCAのグラフィックデザイン専攻に興味を持っていましたが、学校説明会でカーデザインが学べることを知り、元々モビリティが好きだったこともあり、そちらを選びました。バイクと絵を描くことを組み合わせた仕事ができないか模索している中で、特にヤマハのモーターサイクルに惹かれ、先生に相談したところ、「GKダイナミックスがぴったりだ」とアドバイスをいただいたんです。
麥倉コンセプトを立てるのが得意なデザイナーはたくさんいますが、サイさんの大きな魅力は、それを圧倒的な表現力で形にできる点です。現在、学生の中でこうしたビジュアル表現力を持つ人が減ってきている中で、彼は際立っていました。デザインの仕事では、言葉だけでなく、ビジュアルでしっかりと伝える力が求められます。その点でサイさんは群を抜いており、採用の決め手の一つでした。さらに、モーターサイクルへの強い興味と情熱も彼の魅力の一部で、デザイナーとしての可能性を大いに感じさせてくれました。
麥倉5年と少し海外に駐在し、日本企業に「この国の人々はこういったものを好む」など現地の価値観やニーズを伝えることをしていました。トレンドを超えた、その土地ならではの考え方や背景を理解することが重要だと感じています。
麥倉クライアントの意向やエンドユーザーのニーズを考慮しながら、考えて、考えて、考えて悩みながら、これまで自分が経験してきたことや見てきた引き出しからアイデアを出しています。
サイ日常生活の観察が大切だと思っています。例えば、通勤中の電車で他の乗客を見て、「この人はどんな仕事をしているんだろう?」「セールスマンかな?」「モーターサイクル興味あるかな?」などと想像を巡らせます。そういった情報が自分の中にデータとして蓄積しています。
サイ一番やって良かったと思うのは、毎晩のように死ぬ気でスケッチの練習を重ねたことですね。そのおかげで、今では先輩や上司から「サイくん、本当に立体感覚が優れているね」と褒めてもらえるようになりました。その言葉を聞くたびに、「あの努力は無駄じゃなかった」と心から感じます。
サイ学生時代とは違い、実際の仕事では設計面で考えてデザインすることやクライアントの要望に応える必要があります。「好きなこと」を表現するだけではない難しさがありますが、その分、自分の知識が増えていく喜びを感じます。制約の中でバランスを見つけるのがプロの仕事だと実感しています。
篠塚最終的に商品として世の中に出すためには、細部に至るまで完璧に形にすることが求められます。しかし、そうした部分は学生時代には経験できないこともあるかもしれません。だからこそ、最初は苦労することも多いと思います。でも、その困難を乗り越えて、自分の手で本当に作りたいものを完成させられたときの喜びは格別です。
サイ自分のアイデアが採用され、クライアントがそれについて盛り上がっている瞬間を見たときです。それを目にすると、「自分のデザインが認められたんだ」と感じてとても嬉しいです。
麥倉クライアントとの密なコミュニケーションがうちの会社の特徴でもあります。サイさんは1年目ではありますが積極的に前にでてもらってクライアントにプレゼンをしてもらっています。
サイ自分の興味を広げることが大切だと思います。心理学や社会学、デザイン以外の分野も学ぶことで、新たな視点が得られると思います。
篠塚クリエイティブな仕事はわくわくするものです。その楽しさを見つけるために、自分の好きなことに向き合い、工夫を重ねてみてほしいですね。
サイ仕事は楽しく疲れるか、辛く疲れるかの違いです。私は「楽しく疲れる」道を選びました。自分の好きなことを見つけ、それを楽しむことが大切だと思います。
麥倉日常の中で観察し、物事の本質を深く考える習慣をつけてほしいです。